幼稚園の先生と保育士はどうちがうのですか?

幼稚園の先生と保育士はどうちがうのですか?

幼稚園と保育園は、実はいろいろと違いがあります。

 

現場では「文化が違う」とよく聞きましたが、私はまず「成り立ちから違う」ということを伝えたいと思います。

 

堅苦しい話になりますが、ぜひ読んでくださいね。(保育所と保育園がありますが、ここでは読みやすいように保育園に統一します)

 

 

幼稚園

幼稚園のはじまりは、明治時代です。ドイツの教育家フレーベルが提唱した「キンダーガルデン(子どもの花園)」をお手本に、東京師範学校付属幼稚園が開設されました。通っていたのは、上流階級で裕福な家庭の子どもたちです。

 

その後、個人の尽力で開設された私立幼稚園や大学の付属幼稚園などが開設されました。小学校に行く前の教育が大切だということが、だんだんと知られるようになり、一般家庭の子どもたちも通いはじめるようになりました。

 

戦後は幼稚園は「学校」の中のひとつとして位置づけられ、幼児教育の大切さが広まっていきました。小学校に行く前に、幼稚園に行くことが当たり前になり、私立幼稚園よりも安い月謝で通わせることのできる公立幼稚園が誕生しました。

 

幼稚園は、小学校・中学校などと同じ文部科学省が管轄しています。主に3・4・5歳の子どもたちが通います。保育時間は午前8時30分~午後2時までのおよそ4時間程度です。保護者の手作り弁当を持参するところが多く、夏休み、冬休み、春休みなどが小学校と同じようにあります。

 

幼児期の子どもたちが、遊びを通して、知的好奇心や友達とのかかわりを学んでいく「子どもの教育」の場所、それが幼稚園です。

 

 

保育園

一方、保育園のはじまりは、同じ明治時代。貧しくて、両親が休む間もなく働いている間、幼い妹・弟の子守をする子どもたちが大勢いました。

 

そんな子どもたちにも、教育を受けさせたい、働いている間子どもを預かってほしいという親の願いから、託児所が作られました。

 

 

その後、託児所は、農村や働く母親がいる工場などでつくられていきました。しかし、貧困層の子どもたちを救済するという目的ですので、運営はかなり厳しかったようです。そのため、救済の目的で公立保育所の必要性が訴えられました。また、私財を投じて私立保育園を開設した方もいます。

 

 

戦後、保育所は「児童福祉施設」のひとつとして位置づけられました。しかし、働く女性の増加や核家族化で、貧困層だけではなく家庭で保育に欠ける(見てもらえる人がいない)子どもたちが通う施設になってきました。

 

私立保育園も増加し、中には制服や通園バスなどの高額な保護者負担があったり、幼稚園と同様の教育をしたりする保育園も出てきました。

 

 

保育園は乳児院や老人福祉施設などと同じ厚生労働省が管轄しています。主に0歳~5歳の子どもたちが通います。

 

保育時間は、朝7時~夜8時までの12・3時間ですが、民間施設の中には、24時間の保育園もあります。調理室が併設されており、子どもたちは給食をいただきます。長期の休暇はありません。

 

 

現在は、さまざまなタイプの保育園が出来ており、幼稚園と同様の教育が求められるようになっていますが、基本的には「保育に欠ける」子どもたちが安心して過ごすことができる「子どもの生活」の場所、それが保育園です。

ちょっと難しい話になってしまいましたが、では、実際働いている先生たちは、どう違うのでしょうか?保育所と幼稚園の両方を経験した私の経験談をさせていただきます。

 

 

幼稚園の先生

幼稚園は教師としての技量を求められます。例えば、私立幼稚園の中にはピアノの試験でものすごく難しい課題曲を出す園もあります。ほかにも、絵画・運動・子どもの知的好奇心を促す遊びなどの研修がさかんです。

 

先生たちは、子どもたちが帰った後も仕事がたくさんあります。幼稚園は「日案」または「週案」などで計画をたててから保育をします。また保育後は、記録・反省の記入、次の日の保育準備、行事などの会議があります。

 

子どもたちは4~5時間しか園にいませんので、その間にいろいろな経験をさせてあげようとすると、事前準備がとても大切になるのです。

 

 

保護者は、基本的に教育熱心です。「成長した」「幼稚園に行ったら、こんなことができるようになった」という実感が欲しいのですね。

 

毎学期、懇談会をする園もありますし、発表会、参観日などの行事もあります。短い時間の中で教育効果をあげ、保護者の期待に応えるというのが、幼稚園の先生の大変さだと思います。

 

 

 

保育園の先生

一方、保育士は8時間は「子どもを見る時間」で、その後に会議や記録、保育の準備をします。0~3歳の乳児さんになると、抱っこしてあやすことも多くなりますので、かなりの体力を必要とします。

 

保護者はさまざまですが、基本的には「子どもを預かってもらっている」という気持ちや、仕事と家庭の両立などで忙しいことなどから、保育内容についての期待は、幼稚園より少ないと思います。

 

逆に「もうちょっと子どものことを見てあげて欲しい」と思うことがあり、もっと家庭で甘えたい子どもたちが、保育士のひざの上を独占しようとしたり、気持ちが不安定でしょっちゅうケンカをするなど、子どもの様子がしんどいこともあります。

 

参観日などを設けている園もありますが、参加できない保護者もいますので、多くは連絡帳でやりとりをします。

 

毎日子どもを見ながら書きます。運動会。発表会などの行事の打ち合わせや準備をするのも、保育の合間または保育が終わってからになりますので、仕事の時間は長くなります。最近は小学校への提出書類などが増えてきています。

 

職員数が幼稚園より多いので、何人かの先生と複数で担任を受け持つこともあります。経験の少ない先生の中には、一人担任の多い幼稚園より保育園を好む方もいます。

 

しかし、長時間安全に子どもを見るというだけでも相当気が張るものです。いろいろありますが、なにより勤務時間が長いのが保育園の先生の大変さだと思います。

 

 

現在は、幼稚園と保育園の様子は、より近づいてきています。幼稚園にも、さまざまな事情で子どもの様子がしんどいことがありますし、保育園に高い教育内容を求める保護者もいます。

 

 

幼稚園の先生と保育士と、どちらが大変かといわれると、どちらにもそれぞれの大変さがあると思います。これから先の時代は「こども園」の登場によって、さらに幼稚園と保育園は仕事の内容が近づいていくと思います。

 

私は、幼稚園教諭や保育士の日々の努力が、もっと社会の中で認められ、その仕事に対して、十分な報酬や待遇が与えられてほしいと、心から願っています。

 

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